October 08, 2009
台風18号、横田が一回転して消えた!
・とんだぞ!!!私はこれまで進んで台風取材をしたがるタイプのリポーターだった。しかし私が現場に出ると台風が避けて通ることが多く、飛ばされるような強風の体験は一度しかなかったと思う。
1996年頃だったと思うが、関東を直撃した台風の状況を取材するため人気のない竹芝桟橋でリポートを撮った。雨の混じった強風が顔に当たるとピリピリと痛い。話をしようと口をあけると口の中に雨が飛び込んでくる。やっと話始めるとカメラマンが風にあおられ滑って行く、アシスタントさんが支えていても立っているのがやっとの状態だった。
と、数少ないがそんな経験をした私は結構自然界の悪条件には強い、なんてたかをくくっていた。
今朝8時すぎ私は仕事であるオフィスビルに向かった。
車を停めてビルの敷地内に入る。ゲートを入ってからビルのエントランスまでは距離にして20m程だっただろうか。
5m程直進し、右に90度折れさらに直進するとエントランスだ。エントランスに向かうアプローチの片側には植え込みが続く。
最初の5mでかなりの強風を感じた私は前傾姿勢で風に向かって歩いていた。そのオフィスビルで働くサラリーマンが数人私の前後を同じような姿勢で歩いていた。
右折するコーナーに差し掛かった。何だこれは!!
風が強すぎて全く前に進めない。前傾の角度をさらに深く屈みこむ。「わぁ!!!!」私は風に押し戻された。波に足をさらわれた時ような感じで足元に力が入らない。
親切なサラリーマンのおじさまが私の手をとってくれた。
強風の中おじさまと手を取り合って前かがみにエントランスに向かう。一歩出すのがやっとだ。
とてつもない強風がまたしても私の体を押し戻した。
おじさまと固く握りあっていた手が離れた。
私はしゃがみこんでタイルでできた植え込みの囲いにつかまった。
立ち上がることもできない。
「このままどうなるんだろう」と思った瞬間私の体が宙に浮いた。
しゃがんでいたはずなのになぜが私は囲いを上から見下ろしてい る。
どうなっているんだ???!!!
このままじゃ植え込みに突っ込むぞ!!!
体を支えることができない。
「わぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
「●*△◎■▼◆▲○」
私は植え込みの上で仰向けになっていた。
「なんで!!!????????」
植え込みの上というのは踏ん張りようがない。
起き上がるにも力が入らないのだ。
大きな荷物を持ったまま私はしばらく植え込みの上でカエルのようにバタバタしていた。
その時あのおじさまともう一人のおじさまの顔が私を覗き込んだ。
二人はそれぞれに私に手を伸ばしてきてくれた。私は思わず両手を出す。おじさま二人がタイミングを合わせて私をひっぱりあげてくれた。なんて優しい方々。
「大丈夫?」おじさま方の声も強風にかき消されはっきり聞き取れないくらいだ。
痛いとか、怖いとかより恥ずかしさで思わず照れ笑いの私。
しかし、油断は禁物だ。
おじさま方は再び私の手を引いてエントランスに向かって歩き出した。一人のおじさまは私が握っていた車のキーを持ち、もう一人のおじさまは私のデカイ荷物を持ってくださった。
二人のおじさまに手を引かれて善光寺参り、じゃなくて、ようやくエントランスに辿り着いた。
ふぅ〜っ、自動ドアーを入るとおじさま方は互いに軽く挨拶をかわすと右に左に別れていった。
「名前も知らない通りすがりのおじさま方!
なんとお礼を申し上げたらよいのか!!
本当に、本当にありがとうございました」
仕事に入るとあるスタッフから
「横田さん一回転してましたよ」と言われた。
見てたんか!!
だったら助けに来てよ。
その後は「横田が一回転して消えた」という笑い話で一日が終わった。
くそ〜、今度こんな強風に巻き込まれたら絶対飛ばされないぞ!!
ん?懲りないやつだ。
軽い擦り傷と数か所のアザ。思い出す度に笑わずにはいられない。
母に話したらひどく叱られた........。
【台風18号 被害状況】
東京都 軽傷 女性 一名追加。
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