March 02, 2008

久しぶりに見るあの人

・その1 敦賀信人さん
 先週の読売新聞の中で私がもっとも気になった記事が「敦賀信人さん」の今を伝える記事である。この人の名前をどれだけの人が覚えているだろうか? 名前がわからなくても長野五輪でカーリングを日本中に伝えた人、といえば「あ〜、あの人ね」と思いだす人は多いと思う。

 氷上で漬物石を滑らせて競うスポーツ。床掃除ブラシで氷をごしごしこすりながら漬物石の方向を微調整するのも滑稽な動きでありながら息をのんで見いってしまう。

 シーンと静まり返った会場で張りつめた緊張感、漬物石を滑らす青年は眼光鋭いなかなかのハンサムボーイだった。カーリングをまったく知らなかった私もついつい釘づけになった。

・長野五輪から10年
 あれから10年、彼は漁師になっていた。実家を継ぎ、ホタテの養殖やサケマス漁をしながら今もカーリングを続けているという。
これだけ聞いて私のハートはノックアウトされてしまった。

 ここ数年カーリングは女子の活躍が目立った。敦賀選手が長野五輪で教えてくれたカーリングの魅力をチーム青森の女子選手がさらに広めた。しかし、そのカーリング界は今後継者の育成に行き詰っているという。

 敦賀選手のように優秀な選手がいても一緒に戦うチームメイトがそろわなかったり、対戦相手がいなくて経験不足で伸び悩んでいるのだ。

 カーリングに限らず地味なスポーツを継続していくことは並大抵のことではない。スポーツは結構経済的負担があるのだ。ハニカミ王子のようにある日突然数億円のプロ契約なんてことも稀にあるが、ほとんどの場合は自分たちがよい成績を残すことが普及活動であり、直接スポンサーにつながると言っても過言ではないだろう。

 敦賀選手のように日本最北の地域で自然と闘いながら、ホタテを養殖し、サケマスを捕って生計を立てながら、カーリングの普及活動、後進の指導、そして自らまた大舞台に立つことをあきらめずに精進し続けている、そんな姿を想像し、熱いものを感じずにはいられなかった。

 カーリングというスポーツは年齢に上限がないそうだ。だから若い選手と年配の選手が同じチームで一緒に戦うことも少なくないのだそうだ。また、相手チームとの年齢差も話題になる。確かチーム青森がトリノ五輪で戦った外国チームには親子以上の年の差の選手もいたようだったしね。
そんなスポーツだからこそ、きっとまた敦賀選手の雄姿が見られることを期待したい。

 人生脚光を浴びている時ばかりではない。いったん暗転の中に迷い込んでしまうと出口も入口も見えなくなってしまい慌てふためいてしまうかもしれない。しかしそこはじっと落ち着いて待つ。光が当たっていないからといって油断は禁物だ。突然差し込んだ光にも自信を持って笑顔を見せられる自分でいたい。

 この数日、ホタテを見る度に「夢を追う漁師」の姿を思い出している私である。


・その2 ジミー佐古田氏
 三浦和義元社長の逮捕から一週間、ロス市警関係者が次々に記者会見をしている。中でも「ジミー佐古田氏」の登場は当時の記憶をさらに鮮明に蘇らせた。アメリカで日系人の刑事がいるんだ、って今では別に珍しくも何ともないことに、やたらと興味があった。
 
 流暢な英語にたどたどしい日本語、きっと日本にいたらただのおじさんなんだろうが、日系人と言うだけで私にはかっこよく映った。私にとって事件の進展以上にジミー佐古田氏の一挙手一投足が気になった。

 その彼が久しぶりにカメラの前で語った。三浦元社長の起訴には自信があるようだ。銃撃犯も分かっているのだという。そうなってくると、あの元女優も呼び出されるのだろうか? 今度はジミー佐古田氏だけではなく、しっかり事件の解明に目を向けたいと思う。
 
 それにしてもジミー佐古田氏のインタヴューの吹き替えが気になった。ジミー佐古田氏が「三浦元社長」なんて言うか? ジミー氏の声が完全に消されていたので本当のところどう言っているのかわからないが、「三浦元社長」と言うとは考えにくい。

 日本では結果が出ている事件だということから、日本のマスコミは三浦氏に配慮して「三浦元社長」」という表現をしている。でも、ロス市警関係者の話を吹きかえる時にはその配慮は必要ないのではないだろうか? あくまでも話をしている人の言葉で吹きかえるべきではないのかなぁ。どうも不自然に聞こえてならなかった。

 また、ここにきて浮上したのが「一事不再理」の原則。ジミー佐古田氏もロス市警も「一事不再理」を問題にはしていない。
しかし、今回のようなことが通るのであれば、アメリカに容疑者を引き渡してしまった事件を、容疑者が来日した時をねらって逮捕できるということになるのだろうか?

 事件がロス疑惑でなかったら、日本でも「一事不再理」の原則を主張する声が高まるところだろうか、今回はそのことに触れる人は少ない。それ以上に、事件の真相解明をロス市警に期待する人が多い。

 良枝さんは今どんな思いでいるのだろうか?